桜丘法律事務所

弁護士紹介

櫻井 光政

野心に燃える弁護士たちに、私は地蔵の話をすることにしています。

地蔵菩薩。菩薩は如来に次ぐ位の仏なのですが、地蔵は、56億7000万年後に弥勒菩薩が現われてこの世の救済を図るまでの間、苦しみ喘ぐ衆生を救済するために現世をはじめとする六道を行脚する菩薩とされています。地蔵の救済のひとつひとつはとげを抜いたり病を治したりという小さなものですが、庶民は地蔵を愛し、あちこちに「お地蔵様」を建立しました。

弁護士は神でも仏でもありませんが、人々の日々の悩みごとを解決する点では地蔵に似ていなくもありません。世間を驚かせるような大きな事件でなくとも1人1人の依頼者にとっては重大な問題ばかりです。そういう問題に誠実に取り組む弁護士であり続けたいと思います。

所属

  • 日弁連 総合法律支援本部 スタッフ部会 部会長
  • 第二東京弁護士会 元副会長 (平成21年度)
  • 海事補佐人
  • 刑事弁護フォーラム世話人
  • NPO法人「ストップいじめ!ナビ」弁護士チーム

著書

  • 「連載 日本型公設弁護人事務所の試み(1)〜(16)」季刊刑事弁護13号〜28号(1998年〜2001年)
  • 「連載 桜丘だより(1)〜」季刊刑事弁護29号〜(2002年〜)(連載中)
  • 「刑事弁護プラクティス」(現代人文社刊)
  • 「刑事弁護プラクティス2」(現代人文社刊)

過去に取り扱った事件

東京地検特捜部の面会妨害に対する国賠訴訟

櫻井弁護士は、任意取調べで東京地検に呼び出された被疑者の妻から弁護の依頼を受けて地検に向かい、被疑者との面会を要求しましたが、特捜部の検察官は、任意捜査中の被疑者に弁護士の来訪を告げる義務はないとうそぶき面会を拒否しました。そして被疑者との面会を妨害している間に被疑者の自白調書まで作成していました。櫻井弁護士は自身が原告となり、国を相手に、面会妨害により弁護人として十全の活動を果たせなかったことによる慰謝料を請求する訴訟を提起しました。国は、任意取調べ中の被疑者に対する弁護人等の面会権については憲法及び刑事訴訟法に何らの規定もなく、身体拘束を受けていない被疑者はいつでも退出して弁護人の援助を受けるための手段を取ることができるから、現行法上面会権が認められているとは言えないと主張しましたが、裁判所は、身体拘束中の被疑者につき刑事訴訟法の規定がある以上、任意の取り調べ中の被疑者について、弁護人との接見につき少なくとも同等の権利を保障すべき必要があることは捜査機関にとって見やすい道理であるとして、国の主張を退け、国に10万円の慰謝料の支払いを命じました。(東京地方裁判所令和2年11月13日判決・最高裁判所WEB下級裁判所裁判例速報掲載)

耐震不適合を理由とする立退き請求から老舗レストランを守る

昭和41年から続く老舗レストラン。賃料等の滞納は全くありませんでしたが、これまでしばしばビルの大手テナントが退去するたびに明渡を求められていました。そしてついに平成23年、ビルオーナーは耐震性の不足、建て替えを理由として賃貸借契約の更新を拒絶し、明渡の訴訟を提起してきました。これに対して、オーナーの側には本件建物を使用する積極的な事情があると認められないこと、レストランにとっては移転は大変な費用がかかり、且つ立地の変更も店の雰囲気を壊してしまいかねないこと、耐震性の問題は、直ちに本件建物を取り壊さなければならない状態に至っていないことなどを主張し、オーナーの請求を退けました。(亀井弁護士と共同受任。東京地方裁判所平成25年12月24日判決、判例時報2216-76)

ワンクリック詐欺に対する損害賠償請求

櫻井弁護士自身が原告となってワンクリック詐欺に損害賠償を求めた事件。ある日届いた怪しげなメールを櫻井弁護士が開いたところ、それがワンクリック詐欺のサイトでした。まさにワンクリックしたところでいきなり代金請求。しかも櫻井弁護士のパソコンから個人を特定できるデータを取得したかのようなメッセージまでついていました。櫻井弁護士は振込指定口座から詐欺の犯人を突き止め訴訟を起こし、30万円の賠償金を支払わせました。(東京地方裁判所平成18年1月30日判決、判時1939-52)

悪徳行政書士に対する損害賠償請求

相談者が事件を弁護士に依頼したことを逆恨みした行政書士が、相談者と弁護士に対して執拗な嫌がらせをした事件について、損害賠償請求訴訟を提起し、相談者に対して150万円、弁護士に対して200万円の賠償金の支払いを命じる判決を得ました。(亀井弁護士、田岡弁護士と共同受任。東京地方裁判所平成19年6月25日判決、判時1989-42)

メルセデスベンツ盗難事件

Aさんは新宿の都庁付近の路上パーキングに愛車のベンツを停め、デパートでショッピングを楽しみました。ところがパーキングに戻るとベンツはありませんでした。盗難届を出して保険金を請求したところ、保険会社は支払いを拒否しました。盗難防止装置が付いているベンツはそう簡単に盗めないから、盗難の発生自体が疑わしいというのです。納得の行かぬAさんは訴訟を起こしましたが結果は敗訴。当事務所で控訴審を受任することになりました。1審敗訴の理由は「盗難防止装置が付いている自動車がそう簡単に盗めるはずはない」というものでしたから、私たちはある実験を行いました。盗難事件があったその現場に同型のベンツを置いて(もちろんエンジンキーを抜き、ドアをロックして)、レッカー業者に運ばせてみたのです。通行人も、傍らを通るパトカーさえも何ら不審を抱くことなく、「盗難」実験は成功しました。盗難防止装置が付いている自動車もその気になれば簡単に盗めるのです。私たちはその様子を録画したビデオを証拠として提出し、高裁で和解による解決を勝ち取ることができました。(亀井弁護士と共同受任)